睡眠障害・発達障害

睡眠障害

睡眠の問題、睡眠障害は近年注目されております。

睡眠障害の国際分類では、1)不眠症、2)睡眠関連呼吸障害、3)過眠症、4)概日リズム睡眠障害、5)睡眠時随伴症、6)睡眠関連運動障害、に分類されます。

一般的には、睡眠・覚醒リズムの問題と睡眠中に起こる異常行動と分けて考えるとわかりやすいと思います。

睡眠・覚醒のリズムの障害には入眠の時間が遅くなること、入眠の時間がだんだん遅くなり、酷くなると昼夜が逆転してしまうこと、昼寝の時間とその長さが年齢に適していないこと、睡眠の時間が長すぎること、夜睡眠中に中途覚醒があることなどがあげられます。

睡眠中の異常行動には子供の場合、夜尿症、夜驚症、寝ぼけ、寝言、夢中遊行、歯ぎしりなどがあります。ムズムズ足症候群、睡眠時無呼吸症候群は小児、成人共にみられ、最近注目されております。最近成人で注目されているものにレム睡眠行動障害があります。

これらの問題の原因は脳と環境要因にあると考えられます。

これらの睡眠障害を正しく診断し、その対応の仕方、治療を行うことが大切です。

これらは睡眠障害の専門医が担当することが大切です。

 

次に睡眠とそのリズムについてお話致します。

睡眠中ヒトの脳はそれぞれの部分が活動しています。また、脳の一部にリズムを形成している神経細胞があり、それは体内時計とよばれ、そのリズムは25-26時間です。即ち地球の自転により決まる24時間のリズムとは1-2時間のギャップがあります。私たちは太陽と共に生活しておりますので体内時計を1-2時間ずつ前にもってきつつ生活しています。即ち、早寝、早起き、規則正しい食事の時間、学校や仕事へ行くことなどが規則正しいリズムの形成には大切です。

睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠に分類されます。ノンレム睡眠は浅い睡眠から深い睡眠まで4段階に分けられます。そしてノンレム睡眠によって脳も身体も休んでいます。一方レム睡眠は浅い眠りで脳が活発に動いている睡眠です、人はレム期に夢を見ます。

これらの睡眠が一晩の内に順番に出現することを睡眠構築と言います。即ち、入眠後約一時間半でノンレム睡眠の4段階目の深い眠りからレム期に移行します。このリズムを通常二回繰り返した後にノンレム期が4段階目までの深い眠りに達する前にレム期に移行するサイクルに変わります。また眠りの後半ではレム期の時間が長くなります。よく朝方に夢を見てその内容を覚えていることがありますね。

日中の活動はノンレム睡眠の出現をコントロールします。このため昼間しっかりと活動することが深い睡眠をとる上で大切です。一方レム睡眠は脳の神経細胞によってコントロールされているので日中の活動とは関係なく出現します。

二回の深いノンレム睡眠を確保するためには適切な時刻に眠りにつくことが大変重要になります。例えば夜中の12時に睡眠を始めた場合には4段階目までのノンレム睡眠は一度は訪れますが、夜中の2時ごろに寝始めると一度も深い眠りにつくことが出来なくなる危険性が増します。

昔から子供は夜8時には寝るよう躾けられてきました。然し現代の社会、生活環境ではなかなか実行は難しいですね。然し、小学生くらいまでは少なくとも夜は9時くらいまでには寝たほうが良いと考えます。

 

子供の睡眠を考える上にもう一つ大切なことがあります。

それは睡眠と覚醒のリズムです。

睡眠・覚醒リズムは先ず生後4か月くらいまでは睡眠と覚醒の時間が4時間ほどの周期で交互に訪れ昼と夜の区別がありません。やがて昼間の覚醒時間が増え4か月以降は、夜は通して眠るようになり昼夜の区別が出来てきます。その後も昼間起きている時間が増え日中の睡眠は昼寝の形をとります。即ち、生後7-8か月には昼寝は午前と午後それぞれ1回、になります。昼間起きている時間は更に増え1歳2-3か月には昼寝は午後1回になります。そして4歳頃には昼寝が無くなり成人と同じ睡眠・覚醒リズムをとるようになります。このリズムの形成には昼間の環境要因が欠かせません。即ち、育児、躾、教育、生活習慣の形成などが大切なことと言えます。

太陽と共に生活する事、昼間の活動を高めていくこと、良く歩くこと、運動する事などが子供の脳の発達には大変大切なことなのです。

 

発達障害

お子供さんの発達は親御さんにとり大変大事なことですね

発達とは大きく分けて、運動機能、精神、情緒の発達があります。

これらの発達には本人の脳の機能、環境が大切な役割を成します。

 

最近発達障害という言葉をよく聞きますね。その内容は、自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害 (ADHD)、学習障害などです。

一般的には行動、コミュニケーション、社会適応などの問題を持つ幼児期から小児期の子供を指します。

お子さんの問題に気付いた親御さんは多くの場合、地域の保健所、かかりつけの小児科医に相談されることが多いと思います。そこで発達障害と診断された場合、療育を勧められることが多いと思います。しかし、実際には療育の場はかなり混んでおり何か月待ちということが多く途方に暮れておられる親御さんが多いと思います。

しかし、それと並行して是非専門の小児神経医の診察を受けて下さい。発達障害は脳の機能的障害とされておりますが、その病態と病因を検討することが必要だからです。

脳の発達には本人が生来持っている脳の機能と様々な環境要因が関連します。これらにつき、専門の小児神経医が診察し、個々のお子さんについて明らかにして、その後の対応の仕方を考えていくことが必要です。

定期的な医師の診療、検査、投薬などを行いつつ、家庭内での育児、指導、療育の場への通所を検討し、本人の脳の発達を最大限に引き出していくことが大切です。