英語ディスレクシア(読み書き障害)について
お子さんがこんな問題を抱えていませんか?
知的な発達に問題がないのに、、、言葉の読み書きが上手にできない。
- ① ひらがな、カタカナ、平易な漢字の読み書きが不得意だ。
日本語だけが不得意だと思っていたら、英語も同様に読み書きができない。
- ② 日本語の読み書きは問題ないが英語の読み書きができない。
この様なお子さんはディスレクシア(読み書き障害)の可能性があります。
特に英語に障害の有る場合、これを英語ディスレクシアと言います。
「英語ディスレクシア」はあまり聞きなれない言葉かと思います。
ある期間英語の学習をした児童が「読み書き」がうまく出来ないケースが該当します。
- ・アルファベットが覚えられない、うまく発音できない。
- ・単語が読めない、書けない。
- ・従って、短い文章も読めない、意味が理解できない。 等
「英語が苦手なんだよな」というレベルを超えた状態と心配されるケースです。
ディスレクシア(読み書き障害)は日本人が日本語を学ぶ場合にも起きることですが、
言語の性格上その発生比率は極めて小さいと言われています。
他方、英語に関しては英語を母語とする児童においてさえある一定数がこの障害を
持っており、英語を母語としない日本人では更に大きな障害発生の可能性があり得ます。
小児神経学的観点からは、(英語)ディスレクシアは幼児期の脳神経の正常な発達阻害に
起因する問題の一つと考えられます。
英語ディスレクシアは学習障害(限局性学習症)です。
「学習障害」とは、全般的には知的発達に遅れはないが、「聞く、話す、読む、書く、計算する、
または推論する能力」のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指す
もので、英語ディスレクシアは英語の読み書きに限定された学習障害(限局性学習症)と言えます。
また、英語ディスレクシアを発症する小児が他の小児神経疾患(自閉症、注意欠陥多動性
障害等)と併存していることもしばしばあります。
当院では、様々な小児神経疾患をお持ちの小児が特に英語ディスレクシアの問題を
抱えていないか検証を進めているところです。
小児神経学の観点からの説明はこちらをお読みください。
当院でのアプローチ
現在、英語ディスレクシアに対する医学的な治療方法は確立されていませんが、当院では
次の二つのアプローチをしています。
- ①幼児期および小児期の正常な脳の発達を促すことにより英語ディスレクシアの改善を図ります。
- ②英語ディスレクシアの障害を改善するためには適切な学習支援が極めて重要であることから
- 「Brave Kids」のプログラムの利用を推奨します。
国内外におけるディスレクシア問題の研究成果として、適切な学習支援(英語教育)が症状改善
に有効であることに注目しています。
現在の学校における英語の授業では英語ディスレクシアの問題を抱える児童に対して
充分な指導がなされていないように思います。その意味で学外での英語学習支援が必要です。
Brave Kidsは英語ディスレクシアに対する英語教育プログラムを展開しており、当院とのコラボ
レーションによって神経学的診療と適切な英語学習支援で英語ディスレクシアを克服出来るよう
役立ちたいと考えています。
Brave Kidsのブログにより詳細な説明が記載されていますのでご参照下さい。
英語ディスレクシアでお悩みの小児をお持ちの方は一度当院をお訪ねください。
チックの脳は元来優れた、ユニークな脳です!
① やはりチック症は放置しないで下さい。 「鉄は熱いうちに打て」
② チック症は情緒、行動などの問題(注意欠陥多動障害、こだわり、不安症、
睡眠障害など)を伴います。
③ チック症の素因は、元来優れた、またユニークな脳です。
④ 生活様式、価値観が激変する中でチック症の治療に対する保護者と患者
本人のコミットメントが重要です。
チックについておさらいし、早めの対応が大切であることをお伝えしたいと思います。
チックは小児期にしばしばみられ、単なる癖とみなされ“様子見あるいは放置”される事が少なくあり
ません。然し、チックは不随意運動の一種です。自分の意志と関係なく動く(運動チック)、声が出る
(音声チック)もので、チック症という病気の症状です。
チック症は子供時代に始まることが多く、症状はひどくなったり、よくなったりと変動します。1年くらい
で消えることもありますが、小学生時代から中学生時代まで変動を繰り返すことが多く、15歳以降
に軽減し、ほぼ消失することもありますが、増悪し、大人まで続くことも少なくありません。
チック症にはしばしば注意欠陥多動障害、こだわり、不安症、睡眠障害など情緒、行動などの問題
を伴います。
チック症の子供たちは症状そのもので困ることも多く、また、友達関係、家族との関係、学校生活
などで困ることも多いといえます。
またチック症の原因である神経系は子供の発達に重要な役割をもっております。この神経系は
小児期に勢いよく発達する神経系です。ですからこの時期にこそ早期に適切な対応が必要です。
ふるくから「鉄は熱いうちに打て」と言われていますね。
更にチック症の原因は、素因、生活環境などに関連しております。
チック症の素因は、元来優れた、またユニークな脳です。生活環境は色々ありますが、睡眠覚醒
リズム、運動、友達関係、学校生活など通常の生活環境です。
近年、世の中の生活様式、価値観が激しく変わっております。親のみならず、子供たちも大変忙しく
睡眠リズムは乱れ、運動をすること、友達と遊ぶことなども減っております。学校で、皆で話し合い、
学び、楽しみ、時に喧嘩する(よい喧嘩!)機会なども減ってきております。
一方、スクリーンタイムが増え、顔と顔を合わせてコミュニケーションをとる機会が激減しております。
スクリーンタイムの増加は睡眠リズムの乱れにもつながっております。
当クリニクには多くのチックの患者さんが来られております。早期からの対応をし、“卒業した”患者
さんも多くおられます。また、チックは大人になるとなおりにくいことが知られておりますが、適切な
治療により症状がかなり軽減し、家庭、職場での生活が楽になっておられる患者さんも多くおります。
ある小学生の男の子が「運動会の時 『あー』とチックを出して走って一等になった」と得意そうに
話してくれました。
チックは‘気合の神経’ともいえます。運動選手がここ一発の時に大きな声を出すことは自分の力
をふるいだすことに関係があるのだといえます。
また、チックの神経は‘人と楽しみ、喜び合うこと’に関係した神経とも言えます。
チック症に関連した神経系を育てることは、互いにコミュニケーションを取り、仲良くすることにも
つながるといえます。
チック症と発達障害についての分析結果
この度、当クリニックにてチック症を主病とする患者さん並びに注意欠陥多動障害(ADHD)を主病
とする患者さんについて、それぞれが示す他の発達障害の特性との相関性を確認するための分析
を行いました。
発達障害の要支援度評価尺度(MSPA:エムスパ)の検査をベースとして、環境要因との関連を調べる
ためスクリーンタイム、睡眠リズムについても併せ検討しました。
その結果;
1)チック症患者さんが示す他の発達障害との関係では、強迫性障害(こだわりの強さ)とADHD(特に
不注意)に比較的高い相関性がみられました。
2)チック症状の重症度と他の発達障害の特性の程度にも相当の相関が確認されました。
3)ADHDを主病とする患者さんはチック症を主病とする患者さんよりも他の発達障害の特性に対して
より有意な相関がありました。
4)環境要因ではスクリーンタイムの過多が影響していることを確認しました。
学びの場でスクリーンタイムが増えていることを考えますと如何に遊びの場で抑制するかという事が
とても大事になってきます。
ゲームやユーチューブによる過剰なスクリーンタイムはチック症状のほか不注意や衝動性と言った
ADHDの特性、こだわりやコミュニケーション能力の阻害と言った発達障害の特性に悪影響を及ぼ
しています。
また、睡眠リズムにも悪い影響を与えておりチック症状の改善の妨げになっています。
当院ではチック症のほか様々な発達障害の特性を有する患者さんに寄り添い一人一人に対
して適切な治療と生活面での指導を提供しており、多くの患者さんで症状の改善を見ています。
親御さんもお子さんも様々な事情によって多忙な生活を送っているわけですが、症状が認め
られたら、なるべく早期に医療を受けて頂きたいと思っています。
“生涯神経学”
(子供から大人までの神経学)の重要性
もう一度、皆さんと一緒に子供時代に始まる神経・心の問題を考えてみたいと思います。
人の脳は生後段階的に発達していきます。それは親から受けた因子(素因)に加えて外から
の因子(環境)が影響します。環境は、生活環境、育児、しつけ、教育などです。
人の“発達”は運動発達、知的発達に加え、情緒、意志、心の発達などがあります。
発達の過程でみられる“運動、知能、情緒、意志、心”の問題は、脳神経の問題がその背景
にあり、素因、環境要因の関与があります。
いわゆる発達障害(自閉症スペクトラム障害、注意欠陥多動性障害、学習障害)、チック症/
トゥレット症候群、睡眠障害、発達性協調運動障害、などもその背景に上に記した神経系の
発達過程での問題があるといえます。
これらの問題は単に親の育て方の問題ではありません。然し、その背景にある環境要因
についても科学的に検討し、対応策を考えることにより、それぞれの問題の軽減、改善が可能
となります。また、一部の症状に対しては薬剤が有効なこともあります。
また、瀬川病、レット症候群などの背景は特別な遺伝子異常が、ダウン症は染色体異常の関与
があり、小児期に始まり、成人、老年迄経過します。
重症筋無力症は自己免疫性疾患の一種であり、本邦では小児期発症が多いことが知られております。
これらの患者さんも長期の経過をフォローすることが大切です。
当クリニックは、こうした神経学をもとにそれぞれの患者さんの問題に最適な対応、治療を行っております。
「発達障害は脳の問題です」
早期の診断と正しい対応が必要です。
本ホームページの「小児神経の病気について」の中にも記してありますが、発達障害
についてここに改めて記します。
1.発達障害とは、行動、コミュニケーション、社会適応などに問題をもつ幼児期から
小児期の子供に現れる障害です。
2.具体的には自閉症、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害 (ADHD)、学習障害
などです。
自閉症は、言葉の発達の遅れ、コミュニケーションの障害、対人関係・社会性の障害、
パターン化した行動、こだわりなどを特徴とし、アスペルガー症候群では基本的には言葉
の発達の遅れはみられず、コミュニケーションの障害、対人関係・社会性の障害などをみます。
注意欠陥多動性障害は、集中できない、じっとしていられない、衝動性などを特徴とします。
学習障害は、全体的な知的発達に比し、読む、書く、計算する等の能力が特に苦手という
場合を指します。
3.このような発達障害は脳の問題です。それではどのような問題でしょうか。
自閉症、注意欠陥多動性障害は、ヒトの脳の発達に重要な役割をもつ特定の神経系の問題
があるといえます。即ち、モノアミン神経系と呼ばれる神経系です。
この神経系は、乳児期から幼児期、小児期と固有の発達をし、その問題は年齢に依存し、
特徴的な症状を発現します。
乳児期からのちょっとした行動、情緒などに関する問題がそれらを示唆することもあります。
睡眠の問題も少なくありません。
また、学習障害は、より高次の神経系の発達の問題が示唆されるといえますが、高次の
脳機能は早期から発達するモノアミン神経系の影響を受けているといえます。
4.発達早期からのちょっとした問題を見逃さず、適切な対応をしていくことにより、問題点を修復し、
本人の持てる能力、特徴を生かせるようにすることが大切です。
当院では、こうした発達障害に対して、保護者から発達過程について詳細を聞き、神経学的検査、
MSPA検査、睡眠リズムの発達などを参考とし、できるだけ早期の診断をし、対応していくことが
大切と考え実践しております。
必要以上の心配はせず、しかし、正しく理解していただきたいと思います。
個々の患者さんにベストな対応を考えていきましょう。
昔から、育児の重要性は指摘されております。それに加えて「神経学的育児法(この言葉は私の
恩師、瀬川昌也先生の言葉です)」を個々のお子さんに考えていきたいものです。
「チック症状を見過ごさないで下さい」
チック症はチックを主症状とする神経の病気です。
チックに関連した神経系はヒトの情緒、行動、知性、意志の発達に関連しています。
従って、チック症は不随意運動(自分の意志と関係なく出現する異常な運動)に加えて、
注意欠陥多動障害、強迫性障害(こだわり)、不安症、うつ気分、癇癪、怒り等の
情緒・行動の障害、睡眠障害、ムズムズ足症候群、片頭痛等を伴うことがしばしば
あります。
チック症の原因
チック症は発達過程における脳の問題が原因と考えられます。
ドパミン神経系*を主として、それに関連した神経系の関与が考えられます。
ヒトの脳(中枢神経)の発達は生来親から受けた素因および環境から受ける因子が関連
しますが、チック症の原因にはその両方が関与しています。
(*ドパミン神経系は神経伝達物質の一つで、主として運動の調節に関連しています。)
早期の受診を
チックがみられたらできるだけ早く小児神経専門の医師の診療を受けることが大切です。
小学校への就学時期ごろに発症するケースが多く、この時期に診療を開始したお子さんの
殆どが快癒しています。
小児期に出たチックの症状を、単なる‘クセ’とか‘心理的なもの’、‘ストレスによるもの’等
として見過ごさないでください。
院長の野村芳子は今までに数千名のチック症の診療実績があります。
チック症の疑いのある患者様は当院での受診をお勧めします。
チックは5-6歳で始まることが多く、そのチックについて正しい理解がされないために
学校に行けなくなってしまう場合もあります。
しかし本人、家族、友達、学校の先生等の正しい理解と、専門の小児神経科医の指導、
投薬治療により症状の改善、消失をみ、家庭生活、学校生活の継続、その後社会に出て
それぞれ自分の道を目指し、達成し、社会人として、人と仲良く生きていっている方々が
沢山おられます。
チック症の治療はある程度長期にわたるため、本人の前向きで強い意思と保護者の理解・
協力が必要です。医師との良いコミュニケーションを保って根気強く治療にあたることが
重要になります。
チック・トゥレット症候群の患者さんの多くは、本来大変ユニークな素晴らしい脳を持って
おります。その脳を十分に育て、発揮させるためにも早期にチックの小児神経専門医の
診療を受けることが大切です。
なお、当HPの「小児神経の病気について」、「チック・トウレット症候群」もご参照ください。
「他の小児神経難病」
重症筋無力症、ジストニア(瀬川病など)、レット症候群など
院長の野村芳子は小児重症筋無力症、瀬川病に関しては世界的に一番
多くの患者様の診療にあたってきております。
最近、小児重症筋無力症の患者さんの来院が増えております。
早期に正しい診断と適切な治療を開始することにより多くの小児重症筋無力症は
ほぼ完全に治る可能性があります。
また、レット症候群については1980年初頭からオーストリアのレット先生、
スウェーデンのバグベルグ先生、恩師の瀬川昌也先生、諸外国の先生達と
共に研究してきておりわが国では最も多くの患者様の診療に従事しています。
その他、頻度が大変多い症例:
睡眠障害、発達障害、てんかんなど
ご挨拶 -開業8年目に向けて-
2022年8月1日当クリニックは開業8年目を迎えます。
お陰様で無事に診療を続けております。
受診していただいた新しい患者さんは、この7年間でほぼ2500人になります。それぞれの
患者さんの病気について正しい診断と対応について、常に初心を忘れずに対応することを
務めてきております。それはニューロン・レベル(神経細胞のレベル)で病気・障害を解
析し正しい対応を考えるということです。
さて、私たちを取り巻く世界・環境の変化は予測をはるかに超えたことといえます。
昨年と一昨年の開業6年、7年のご挨拶にも述べましたコロナ感染症蔓延と小児神経疾患の
関係は改めて多くの問題を突き付けてきております。
スクリーン・タイムの増加、社会環境の変化なども子供の生活を大きく変えているといえ
ます。
また、戦争、温暖化、など世界レベルの問題も私たちの身近なものとなっております。
小児神経学の実践は、人の気持ちを思い、お互いの心を通わせることのできる子供たちを
育てていくことに一石を投じていくことにつながると考えております。
当院の信念であります「世界の平和は子供から」を掲げて、これからも職員一同元気で仕
事に励んでいきたいと思っております。
2022年7月15日
野村芳子小児神経学クリニック
院長 野村芳子
ご挨拶 -開業7年目に向けて-
2021年8月1日当クリニックは開院6周年を迎え、7年目にむけて気持ちを新たにしております。
昨年以来の新型コロナ感染症蔓延の事態は、人々および社会に多くの問題を突き付けており、
特に発達過程にある子供たちにはより大きな課題を投げかけています。
振り返れば、40年間私が師と仰ぎ、小児神経の臨床と研究に一生を捧げた故瀬川昌也先生
(2014年12月に閉院した旧「瀬川小児神経学クリニック」院長)であれば、このコロナ禍において
どのような視点で医療にあたられただろうかと日々胸に手をあてています。
私としては、瀬川先生の志しを常に基本として現状を正しく分析し、どのような対応が適切である
かを考え、未来に向けて前向きに行動して参ります。
なお、当クリニックでは職員全員、感染症の予防に細心の注意をしながら、診療を続けております。
さて、小児神経が専門とするいくつかの病気についてはこのホームページの“小児神経の病気
について”の項をご参照ください。そのうちのいくつかの病気について、最近の社会状況の中で
繰り返し感じていることを記してみます。
トゥレット症候群は、小児期にしばしばみられる病気で、運動チック、音声チックを主な症状とします
が、加えて多くの情緒、行動、睡眠の問題をみることが少なくありません。チックに関連した神経回路
は発達過程において情緒、行動、睡眠などの基礎にある神経系と関連しているからです。当院では
チック症を主訴とする患者さんに対して上記のような観点からも総合的な診療に当たっております。
また、この病気は環境要因の影響も受けることから患者本人の努力だけでなく、保護者の方々の
ご理解、ご協力が大切になります。
トゥレット症候群は、幼少期に発症するケースが多いのですが、早期からの受診により改善を図る
ことが大切と考えています。
発達過程にみられる他の疾患(自閉症、注意欠陥多動障害等)も早期からの対応が望まれます。
私は長年小児期発症の神経・精神疾患の診療にあたってきておりますが、それぞれの疾患の年齢
による変化にも注目してきております。
小児期発症重症筋無力症(MG)、瀬川病、レット症候群等小児期に発症する疾患も、早期の診断、
治療、フォローが大切です。さらに年齢と共に出現・変化する経過に対し、適切な対応を行っていきます。
今後も患者さん、その家族の方々と共にそれぞれの問題に向き合っていきたいと思います。
2021年8月1日
野村芳子小児神経学クリニック
院長 野村芳子


