チック・トゥレット症候群

子供が目をパチパチする、首を動かす、咳払いをする、これらは一般には癖とみなされ、環境、ストレスのせいとされ、放置され、またはカウンセリングにて経過をみられることが多くあります。

しかし、これらはチック症で、その原因は本人の脳にあります。

チックの種類は運動チックと音声チックに分けられ、その持続期間が1年以上になった場合、慢性とされます。チック症は出現するチックの種類とその持続期間から次の4種類に分けられます。

1)一過性小児期チック症:運動チック、音声チックが出現し1年以内に消失する

2)慢性運動チック症:運動チックが変動しつつ、1年以上経過する

3)慢性音声チック症:音声チックが変動しつつ、1年以上経過する

4)トゥレット症候群:音声チックを伴い複数の運動チックが出現し1年以上経過する

即ち、トゥレット症候群はチック症の一型です。

チック症、トゥレット症候群の原因はどのように考えられているのでしょうか。

人の脳の中にドパミン神経系と呼ばれる大事な神経系があります。ドパミンは神経と神経の伝達を司る重要な神経伝達物質の一種で、発達期には大脳の発達にも大切な物質です。チック・トゥレット症候群はこのドパミン神経系の発達の問題がその原因と考えられます。


チック・トゥレット症候群は早期に正しく診断をし、その原因を理解してもらい、その段階により適切な指導、投薬などを行うことにより改善、治癒にもっていくことが可能です。


チックは5-6歳で始まることが多く、そのチックについて正しい理解がされないために学校に行けなくなってしまう場合もあります。しかし本人、家族、友達、学校の先生等の正しい理解と、専門の小児神経科医の指導、投薬治療により症状の改善、消失をみ、家庭生活、学校生活の継続、その後社会に出てそれぞれ自分の道を目指し、達成し、社会人として、人と仲良く生きて行っている方々が沢山おられます。

チック・トゥレット症候群の患者さんの多くは、本来大変ユニークな素晴らしい脳を持っております。その脳を十分に育て、発揮させるためにも早期にチックの小児神経専門医の診療を受けることが大切です。