歩くことが難しい、手が震える、止めようとしても体が動いてしまう、姿勢を保つことが出来ないなどの症状は、異常運動疾患として小児期にも決して少なくありません。
専門的には、その異常運動の原因、種類などにより分類されます。
例えば出生前後の問題により起こる脳性麻痺という言葉は聞いたことがあると思います。脳性麻痺の患者さんも種々の異常運動、姿勢の異常を呈します。
異常運動疾患の中で特に最近注目されているものにジストニアがあります。
ジストニアは目的を持った動きをしようとすると余分な力が入ってしまいその動きが出来ない、また、体幹、下肢、上肢の姿勢が異常になってしまう、また異常な動きが入ってしまうというものです。
ジストニアの原因にも多くのものがあります。
その中の一つであります瀬川病は故瀬川昌也先生が世界で最初に見つけた病気でその治療法、原因遺伝子の発見まで至りました。
症状に朝改善し、夕方から夜に悪くなるという日内変動があり、瀬川先生は当初‘著名な日内変動を呈する遺伝性進行性ジストニア’と呼びましたが、その後世界的によく知られ‘瀬川病’と呼ばれるようになりました
この病気は稀ですが正しい診断を行い、レボドパという薬剤の投与により完全に治すことが出来ます。正しく診断されず、生涯肢体不自由のため施設に入所されている方、下肢の手術を受けている方などもおられます。
瀬川小児神経学クリニックには世界で最も多くの患者さんが瀬川先生の元にこられ、私も一緒に治療・研究に携わってまいりました。
他の原因のジストニアにつきましても多くの経験があります。
これらの異常運動の治療法は最近特に進歩してきております。